その他
遺言書の検認
公正証書遺言を除いては、遺言書の保管者(保管者がいない場合は遺言書を発見した者)は、相続の開始を知った後、遅滞なく、遺言書を家庭裁判所に提出し、検認の請求をする必要があります。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所において、相続人またはその代理人の立会がなければ開封してはならず、これに違反した場合、5万円以下の過料に処せられます。
遺言書の検認は、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きであり、検認を受けたからといってその無効な遺言が有効になるわけではありません(検認を受けなかったからといって有効な遺言が無効になるものでもありませんが、不動産の名義変更などの正式な手続きに利用するときには、検認を受けた遺言書が必要になります。)。
遺言執行・遺言執行者とは
遺言執行とは、亡くなった方の意思に沿って遺言の内容を実行することをいい、これを行う者を遺言執行者といいます。
遺言をする際に遺言執行者を必ず定めなければならないわけではありませんが、遺言書の中で指定することも可能ですし、遺言者が亡くなった後に、相続人や遺贈を受けた方などの利害関係人からの請求によって家庭裁判所が選任するケースもあります。
煩雑な遺言の内容の実行手続きを遺言執行者が一人で行うことができるため、遺言の内容をスムーズにかつ公平・忠実に実現することができます。
遺言の内容に協力的でない方(遺言に不服のある方)がいる場合や、遺産相続の手続きが複雑な場合には便利な制度といえます。
当事務所では遺言書作成サポート業務を扱っており、遺言執行者の指定が必要と思われる内容の遺言については、ご希望により、当事務所の司法書士が遺言執行者としての指定をお引き受けし、死後の意思の実現をお手伝いいたします。
限定承認
限定承認とは、相続人が、プラスの遺産の範囲内でのみマイナスの遺産(借金など)を相続する方法で、相続人が、自分のために相続があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することにより認められます。プラスの遺産とマイナスの遺産のどちらが多いかが分からない場合などに有効な制度(メリット)ですが、相続放棄と異なり、相続人全員が共同してしなければならない(デメリット)こととされております。
遺留分減殺請求
遺言書の内容は書く方の自由ですから、法定相続分と異なる割合で相続させる内容の遺言書を書くこともできます。ただし、相続人(兄弟姉妹が相続人の場合を除く)にはそれぞれ最低限保障された取り分(=遺留分)が決められており、遺留分より少ない財産しか残さない内容の遺言書だった場合には、他の相続人や受遺者に対して、遺留分より少ない部分について自分に渡すように請求することができ、これを「遺留分減殺請求」といいます。
遺留分減殺請求は、遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った日から1年以内に行う必要があります(知らなかった場合でも相続開始のときから10年を経過すると請求できなくなります。)。請求方法に決まりはありませんが、証拠を残しておくという意味において、内容証明郵便で行うのが一般的です。
遺言書を書く場合には、相続人に無用の争いが起こらないようにするため、他の相続人の遺留分を侵害しない内容にするなどの工夫が必要です。
相続税について
相続税の基礎控除額
相続税の基礎控除額は、「5,000万円+法定相続人の数×1,000万円」と定められており、相続税法上の遺産の評価額がこれに満たない場合は、相続税は課税されません。
妻と子が2人いる相続のケースの場合、
5,000万円+3×1,000万円=8,000万円
となりますので、相続税法上の遺産の評価額が8,000万円に満たない場合は、相続税が課税されないということになります。
一般的な家庭の場合、相続税が課税されるケースは少ないと言われておりますが、遺産の評価には専門的な知識が必要となりますので、税理士などの専門家にご相談ください。
相続税の申告期限
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内とされています。遺産分割協議をもとに相続税の申告をされる場合は、この期限を過ぎてしまうと未分割での申告となり、配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減などの相続税の軽減特例の適用が受けられなくなります(その後3年以内に協議が成立した場合には訂正・還付の機会があります。)。
物納
相続税を含め、税金は金銭で納付するのが原則です。しかし、遺産の中には土地や建物などの換金しにくい財産があることも多く、金銭での納付を強制すると期限までに納付できなくなってしまう場合が生じてしまいます。
そこで、相続税については、金銭で納付することが困難な事由があるときは、一定の条件のもとに金銭に代えて物(国債・地方債、不動産など)で納付することが認められており、これを物納といいます。
なお、以上の内容は、相続税に関する基本的な内容を参考としてご案内させていただいたものに過ぎません。相続税の申告などのご相談は必要に応じて税理士と連携をとりながらお引き受けいたしますが、当事務所の業務として取り扱っているものではございませんのでご注意ください。
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