遺言(「ゆいごん」または「いごん」)というと、「家族仲良く…」とか、「お母さんを大切に…」などといった言葉をイメージされる方がいるかもしれませんが、遺言書に書いて法律上の効力が認められることは法律で決められています。
「家族仲良く・・・」とか、「お母さんを大切に・・・」と書いたとしても、その部分に法律上の拘束力があるわけではなく、あくまでも以上に記載した内容に限って法律上の効力が認められるのですが、ある相続人にとって有利な(別の相続人にとっては不利な)内容の遺言を残す場合には、どうしてこのような内容の遺言を書いたのかなど皆様のお気持ちを残したい、また、このようなお気持ちも書いた方が相続人も納得しやすいという場合もあるかと思います。
そのような場合には「付言事項」として、財産とは関係のない皆様のお気持ちを遺言書の中に残すこともできます。
民法には、遺言の種類として、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類の普通方式による遺言、また、死期が迫っているなど特殊な状況下にある場合に利用する4種類の特別方式による遺言、全部で7種類の遺言が定められています。
遺言書は偽造・変造防止のため、民法に厳格な方式が定められており、この規定にしたがって作成しなければ無効な遺言書となってしまいます。
ここでは、一般的な普通方式による遺言書についてご説明します。
遺言者本人が自らの手で全文、日付を書き、署名・押印をして作成する遺言。
公証役場で2人以上の証人の立ち会いのもとで下記のとおり作成する遺言。
あらかじめ作成し封印した遺言書を公証役場に持っていき、下記の方法で作成する遺言。
以上のようにそれぞれの遺言には、それぞれのメリット・デメリットがあり、どの方式を利用して遺言書を作成するかはご本人のお考え次第ですが、法的に有効な遺言を作成するためには、専門家が関与し、安全確実な公正証書遺言をお勧めいたします。
書いてしまった遺言書は取り消すことができないと思ってらっしゃる方がいたらご安心ください。遺言書はいつでも変更したり撤回したりすることができます。
複数の遺言書があり、その内容が異なる場合には、内容の異なる部分については日付の新しい遺言書の内容が優先されることになっているため、遺言書を書いた後に内容を変更したいとご希望される場合には、そのときのお気持ちを再度遺言書として書き残せばいいのです。ただ、双方の遺言書のどちらが有効か問題になる可能性もありますので、「前の遺言を次のとおり変更する。」などと、変更した遺言書であることをはっきりしておかれることをお勧めいたします。
このとき、それぞれの遺言書がどの方式の遺言書であるかは問われません(その方式にしたがった有効な形式であることは必要です)ので、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することもできます。
また、遺言書で変更・撤回しなくても、次のような場合には変更・撤回したものと扱われる場合があります。
ご承知のとおり、遺言書はご本人の意思を書面に書き表したものであり、それを作成するにあたって当事務所が何をサポートしてくれるの?と思う方がいるかもしれませんが、公正証書遺言を作成しようとした場合、一般的には以下のような流れで手続きを行う必要があります。
当事務所に公正証書遺言の作成サポート業務をご依頼いただいた際には、当事務所が皆様と公証人の橋渡し役として皆様の意思を事前に公証人にお伝えし、皆様はこちらでは取り寄せることができない戸籍謄本などを取り寄せていただく以外は、作成当日に公証役場に来ていただくだけで済むことになります。(当事務所との間で、遺言書の内容についてのお打ち合わせが必要になりますが、お打ち合わせについては、こちらからご自宅に伺うことも可能です。)
皆様の意思を死後に確実に実現するために遺言書の作成をご検討されてはいかがでしょうか。