事業承継
事業承継とは
日本全国の企業の9割以上が中小企業ということをご存知でしょうか?
多くの中小企業では、経営者自身がその経営する会社の株式や資産を保有しており、経営者が亡くなると、会社の経営を存続させること自体が困難になり、そこで働く従業員にも大きな影響を及ぼすことも少なくありません。
「事業承継」とは、会社の株式や資産、従業員などを含めた、会社の事業全体を後継者に引き継がせることをいいますが、生前から計画を立て、万が一のときに事業承継がスムーズに行われるように備えておくことも経営者の責任ではないでしょうか。
事業承継にかかわる法律
中小企業において事業承継がスムーズに行われるように、平成20年5月に成立した「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が平成20年10月1日から施行され、その中でも重要な遺留分に関する民法の特例の規定については、平成21年3月1日から施行されています。
遺留分に関する民法の特例の内容
遺言書の内容は書く方の自由ですから、法定相続分と異なる割合で相続させる内容の遺言書を書くこともできます。ただし、相続人(兄弟姉妹が相続人の場合を除く)にはそれぞれ最低限保障された取り分(=遺留分)が決められており、遺留分より少ない財産しか残さない内容の遺言書だった場合には、他の相続人や受遺者に対して、遺留分より少ない部分について自分に渡すように請求することができ、これを「遺留分減殺請求」といいます。
中小企業の経営者の資産はその大部分が自社株や事業用資産であることが多く、これを後継者に相続させようとすると他の相続人の遺留分を侵害してしまうことが珍しくありません。
その結果、後継者が他の相続人から遺留分減殺請求を受け、株式や事業用資産が分散して事業を円滑に承継することの妨げとなっていました。
この問題点を解消するために、特例では、経営者の生前に推定相続人全員で以下のような合意をすることができることとなりました。
- 経営者から後継者への生前贈与株式を遺留分の対象から除外すること
- 経営者から後継者への生前贈与株式の評価額を贈与時の価格とすること
なお、特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認や家庭裁判所の許可が必要になります。
事業承継に利用できる対策の具体例
1.生前贈与
自社株や事業用資産など事業にかかわる財産を、ご自身が生存中に後継者に贈与することにより、事業の承継をスムーズに行おうとするものです。生前贈与は遺留分の対象となるのが原則ですが、先にご案内のとおり、一定の要件を満たせば遺留分の対象から除外することが可能です。
2.遺言
自社株や事業用資産などの事業にかかわる財産が相続人間に分散しないように、それらの財産を後継者に相続させる遺言書を残すなどの方法により事業の承継をスムーズに行おうとするものです。
3.種類株式
例えば、遺留分の特例を受けるための合意が推定相続人間で成立しなかった場合などに、会社の株式の一部を議決権のない株式に変更しておき、後継者には議決権のある株式、後継者以外の相続人には議決権のない株式を相続させる遺言書を残して後継者が経営に集中出来る環境を整備することができます。
4.M&A
ご親族の中に後継者がいない場合などに、会社の従業員に自社株を売却して事業を承継させたり、同業他社と合併するなどの手法を活用して会社の持つ経営ノウハウや技術、事業用資産などを承継する際に利用します。
5.事業承継支援センター
ご親族や従業員に後継者候補がおらず、外部にも事業を承継してくれる相手先が見つからない場合には、全国103か所(平成21年4月1日現在)の商工会議所などに設置された事業承継支援センターの活用も検討する価値があると思われます。
※事業承継支援センターは、経済産業省中小企業庁の委託事業として、全国の商工会連合会や商工会議所が設置した機関で、後継者がいない企業と承継を希望する企業とのマッチングや、弁護士・公認会計士・税理士などの専門家派遣などを行っています。
実際の事業承継にあたっては、上記だけでなく税務上の問題を含めてさまざまな観点から検討し、計画的に実行する必要がありますので、まずはお気軽にご連絡ください。
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