遺産相続が開始し、遺産分割協議が成立するまでの間は、亡くなった方が金融機関に持っていた預貯金は、遺産として相続人全員の共有の財産となります。ですから、一部の相続人が亡くなった方の口座から勝手にお金を引き出してしまわないように、金融機関は、預貯金口座の名義人が亡くなったことを知ると、その口座を凍結し各種取引を停止させます。(停止される取引は、出金だけではなく、入金・自動引き落としなどもできなくなります。)
預貯金口座の相続(遺贈)について指定した遺言書がなかった場合には、共同相続人全員で遺産分割協議を行い、成立した遺産分割協議の内容をもとに金融機関で名義変更の手続きを行う必要があります。
なお、遺言書の中で預貯金を相続(遺贈)する人が1人だけだった場合や、遺産分割協議によって、相続人のうちの1人だけが預貯金を取得することとした場合でも、金融機関所定の依頼書などに相続人全員の署名捺印を求められるのが一般的です。
※各金融機関により、上記以外の書類が求められる場合がございますのでご注意ください。
相続財産の中に上場会社の株式がある場合、証券会社を通じて名義変更の手続を行うことになります。上場会社株式の名義を変更する場合には、証券会社に開設している取引口座の名義変更と、その株式自体の名義変更(発行会社の株主名簿の名義変更)の二つの手続きが必要になるのですが、株式自体の名義変更については、証券会社が代行して行うのが通常です。なお、株式を引き継ぐ方が証券会社に取引口座をお持ちでない場合には、新たに取引口座を開設する必要があります。
非上場会社の株式についてはそれぞれの会社によって手続が異なりますので、発行会社に手続きを確認する必要があります。
※各証券会社により、上記以外の書類が求められる場合がございますのでご注意ください。
不動産、預貯金、株式以外にも、亡くなった方が持っていた財産について、名義変更が必要なものが含まれている場合があります。
下記にその例をまとめましたのでご参考にしてください。
名義変更が必要なもの | 届出先 |
自動車 | 管轄陸運局 |
ゴルフ会員権 | ゴルフ場 |
電話加入権 | NTT |
NHKの契約者 | NHK |
公共料金(電気・ガス・水道)の契約者 | 電力会社・ガス会社・水道局 |
自動車保険 | 損害保険会社 |
火災保険 | 損害保険会社 |
借地・借家・賃貸住宅 | 地主・家主・管理会社 |